診察前に検査を行う事は意外と重要!?

2024.06.24 つぶやき創意工夫

診察前検査を施行することの有用性とは?

当院では医師による診察の前にMRI検査やエコー検査を行う事を推奨しています。

「Time is brain」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

Time is money(時は金なり)はよく耳にするフレーズですが、実は脳神経外科の領域では「Time is brain」という言葉も有名です。 これは、急性期脳梗塞で特に使用される言葉で、脳梗塞発症から治療までの時間が短いほど、後遺症が少なく治癒する可能性が高くなる事を示しています。

ここで脳梗塞の治療開始が遅れてしまった症例と、早期に治療を開始できた症例を比較します。

脳梗塞発症から治療まで「時間がかかってしまった」場合

こちらのMRI画像は、脳梗塞症状発症から治療までに3日以上かかってしまった場合です。3日前より文字が書きにくい症状があり、来院当日は物が見えにくい、スマホの使い方がわからなくなったなどの症状まで悪化してからご来院された患者様です。緊急性があると判断し、直ちにMRI検査を施行すると、右後頭葉に広い範囲で白く光る部分が確認できました。この白い部分が脳梗塞に陥っている範囲です。

術前 拡散強調画像(DWI)
術前 FLAIR画像

すぐに脳梗塞の治療ができる病院へ搬送したのですが、脳梗塞発症から3日以上も経過していたため、次の術後MRI画像のように脳梗塞は広い範囲で残ってしまい、視野欠損やふらつきなどの後遺症が残ってしまいました。

術前と術後のMRI画像を比較すると、脳梗塞になってしまった範囲があまり変化していないことがわかります。

術後 拡散強調画像(DWI)
術後 FLAIR画像

脳梗塞発症から治療までの「時間が短かった」場合

一方で、こちらのMRI画像は脳梗塞症状発症から早期に治療を開始できた場合です。この患者様は、服を着るときにボタンが留めにくいという軽度な手の麻痺感を感じたため、すぐに来院されました。急性期の脳梗塞が疑われた事から、即時MRI検査を施行したところ、左の頭頂葉に白く光る急性期の脳梗塞が見つかりました。

術前 拡散強調画像(DWI)
術前 FLAIR画像

検査後は直ちに脳梗塞の治療ができる近隣病院へ搬送し、早期の段階で治療できたため、次の術後MRI画像のように脳梗塞の跡は小さく、後遺症も残りませんでした。

早期発見・早期治療に診察前検査は役に立つ!

このように、発症から治療までの時間を短くすることは極めて重要だということがわかります。これが「Time is brain」です。診察を行ってから検査、そして検査結果を見て再度診察を行うと、発症からどんどん時間が経過していってしまいます。

従って、疾患を「可能な限り早期に、かつ正確に診断」するために、当院では「診察前検査」を推奨しています。

ご理解・ご協力のほど、よろしくお願いいたします。

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