脳卒中予防薬リクシアナについて院内勉強会開催

2024.05.25 勉強会・研究会・学会

今週の勉強会では、脳卒中の再発予防薬の1つである「リクシアナ」について勉強会を行いました (^^♪

どのような患者様にリクシアナが選ばれるのか? また、リクシアナが優れている点などをお伝えします!

第一三共さんから販売されているリクシアナとは?

抗凝固薬の「リクシアナ」は、不整脈治療薬として位置づけられています。では、不整脈と脳卒中にはどのような関係があるのでしょうか?

脳卒中とは、脳梗塞や脳出血を総称した病名ですが、これらの原因には「心原性」と「アテローム血栓性」2つに大別されます。

心原性の脳卒中は、心房細動によって心臓内に血液の塊ができ、その塊(血栓)が脳の動脈へ飛んでいくことで誘発されます。一方で、アテローム血栓性の脳卒中は、頸動脈などの血管壁にできたやわらかい血栓が剝がれることが原因で起こります。ここでポイントとなるのは、心原性血栓は静脈血が流れる血管で、アテローム性血栓は動脈血が流れる血管で作成されるということです。

心原性による血栓
アテローム性(血管内)による血栓

動脈血と静脈血で何が違うの?

どちらの場合であっても、血液の塊が原因で脳卒中が誘発されるのですが、この塊のでき方に違いがあります。アテローム性(動脈血)の場合、主に血栓は血小板によって大きくなっていきます。つまり、傷を治すときにできる「かさぶた」の様なイメージです。一方で心原性(静脈血)の場合は、血液の流れが滞ってしまうことで血液がドロドロになってしまう、フィブリン血栓と呼ばれるものが原因で血栓は大きくなっていきます。

この様に、血液が固まる原因が違うと、治療薬も変わってきます。アテローム血栓性(動脈血)ならば、抗血小板薬であるアスピリン製剤がよく効きますし、心原性(静脈血)ならば抗凝固薬であるヘパリン製剤がよく効きます。

そこで今回の「リクシアナ」ですが、これは心房細動(不整脈)が原因で血液の流れが滞ることによって血栓ができることを予防するお薬です。つまり、心原性の脳卒中の患者様に向いているお薬ということになります。

ここで一つの疑問が浮かぶと思います。頸動脈などアテローム性と、心房細動など心原性の両方のリスクを持っている患者様の場合はどうするのか? 

一般的に、アテローム性薬剤のアスピリン製剤と心原性薬剤のヘパリン製剤を一緒に処方することは少ないです。なぜならば、この2種類のお薬を一緒に服用し続けると、脳出血や消化管出血のリスクが高まるとされているからです。しかし、ヘパリン製剤の「リクシアナ」のすごい所は、アスピリン製剤と一緒に服用を続けても、他のお薬よりもこの出血のリスクが低く、安全性が高いお薬なのです。

このデータはプラセボ群という、アスピリン製剤とリクシアナを併用していない患者様と、リクシアナを併用して服用した患者様を比較した結果です。この両者を比較すると、リクシアナを併用して服用しても生命にかかわる大出血が起こる可能性が、プラセボ群と大きく変わらないことがわかりますね!つまり、併用しても安全性が今までよりも向上しているということです。

お薬の相談は専門医にご相談くださ( ^^) ~~~~

リクシアナは15、30、60mgと3種類が販売されており、この容量を調整することによって薬剤効果を保ちつつ、出血のリスクを抑えられるとされています。また、決められたお薬をちゃんと飲み続けることも大切です。飲み忘れがあると、お薬の効果が10%以上低下してしまうという研究結果も出ています (*´Д`)

当院では院長の的確な診察と検査によってこの用法・容量を調整可能です。いつでもご相談にお越しください。

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