赤ちゃんの頭のかたちが気になったら|向き癖・絶壁とヘルメット治療の基礎

2026.08.14 赤ちゃん・頭の形

院長 上野 龍
この記事の監修院長 上野 龍宮前平脳神経外科クリニック/医学博士
日本脳神経外科学会脳神経外科専門医・指導医

この記事の結論(3つのポイント)

  • 赤ちゃんの頭のゆがみは病気ではなく、とてもよくあることで、多くは成長とともに自然に整います。一方で「整っていく途中なのか」「相談したほうがよい形なのか」を見分けられるのは、限られた時期だけです。
  • ご相談は生後2〜4か月が最適です。この時期なら、形の評価・ヘルメット治療の判断・向き癖の背景にある首の問題の発見が、すべて間に合います。
  • 当院でご相談いただいた方の約6割は経過観察です。ご相談=ヘルメット、ではありません。

「いつも同じ方向ばかり向いている」「後頭部が平らな気がする」「左右で形が違う」——赤ちゃんの頭のかたちが気になったとき、いつ・どこに相談すればよいのでしょうか。受診の目安と、当院でできること、ヘルメット治療の基礎をご紹介します。

赤ちゃんの頭のかたちが変わるのはなぜ?

赤ちゃんの頭はやわらかく、寝ている向きのくせで形が変わります。これは病気ではなく、とてもよくあることです。

赤ちゃんの頭の変形の3タイプ(変形性斜頭・変形性短頭・変形性長頭)の図解

寝返りやおすわりができるようになると、頭にかかる力が分散されて、自然に目立たなくなっていくお子さんが多いです。髪が生えそろう頃には、ご家族以外は気づかない程度になることもよくあります。

一方で、ごくまれに、頭の骨のつなぎ目が早く閉じてしまう病気(頭蓋縫合早期癒合症)が隠れていることがあります。頻度は高くありませんが、これは早く見つけることに意味があるので、外来ではまずここを確認しています。

受診・相談の目安|いつ相談すればいい?

考え方の軸は「形の重さ」よりも「方向」と「時間」です。軽度でも悪化する方向なら相談を、中等度でも改善する方向で寝返りが出ていれば経過観察でよいことが多いです。月齢ごとの目安は次のとおりです。

  • 〜生後2か月気づいた時点で相談できます。早すぎることはありません。向き癖への働きかけ(ポジショニング)が最も効きやすい時期です。
  • 生後2〜4か月最適な時期です。形の評価も、ヘルメット治療の判断も、首の問題(斜頸)の発見も、すべて間に合います。
  • 生後5〜6か月まだ選択肢はありますが、決断までの猶予が少なくなります。早めのご相談をおすすめします。
  • 生後7〜8か月ヘルメット治療の効果は下がってきます。自然経過の見通しと、他の病気の除外がご相談の中心になります。
  • 生後9か月〜効果は限定的になりますが、機種や状態によっては選択肢が残る場合もあります。まずはご相談ください。

早めに相談したいサイン

  • 耳の位置が明らかに前後にずれている/おでこの左右差がある
  • いつも同じ方向しか向かない、首が片側に傾く
    (斜頸の可能性。首へのアプローチが必要になることがあります)
  • 生後3〜4か月を過ぎても改善しない、悪化している
  • 頭のつなぎ目に硬い盛り上がり/細長い・三角形など特徴的な形/大泉門が早く閉じている
  • 頭囲の伸びが急・止まっている/発達がゆっくりに感じる

様子を見てよいことが多いケース

  • 左右差が軽く、耳の位置のずれがわずか
  • 向き癖が強くなく、両方向を向ける/首の傾きがない
  • 寝返りが出はじめている
    (頭にかかる力が分散し始めます)
  • 月齢が進んでも変形が強くなっておらず、頭囲の伸びと発達が順調

「気にしすぎでしょうか」という受診でまったく構いません。計測して数値でお示しし、次に見るタイミングをお伝えするだけでも、ご不安はかなり軽くなると思います。

当院でできること

赤ちゃんの頭の形を測定する手持ち式3Dスキャナー
  • 初診は保険診療です(病気の有無を確認する診療のため、保険の対象となります)。川崎市の小児医療証をお持ちの方は窓口負担がありません。東京都など神奈川県外の医療証をお持ちの方は、一度窓口でお支払いいただき、お住まいの自治体で払い戻しの手続きとなります。紹介状は不要です。
  • 問診・診察と計測に加えて、レントゲンで頭蓋骨のつなぎ目を確認し、治療の前にまれな病気(頭蓋縫合早期癒合症)が隠れていないかを確かめます。
  • 3D計測(5,500円・治療に進まれる場合は治療費に充当)で、ゆがみの程度を数値で評価します。
  • 当院でご相談いただいた方の約6割は経過観察です。治療しない場合も、ご家庭でできる体位変換をご説明し、再評価の予定を立ててお帰りいただいています。

ヘルメット治療とは|対象・期間・費用・注意点

ヘルメット治療中の赤ちゃん

ヘルメットは頭を「押して」直すのではなく、成長していく方向を「整える」装具です。頭がいちばん大きくなる時期そのものが治療期間になるため、治療を始める場合の最適期は生後3〜6か月頃(作製は首がすわる3か月以降)です。ご相談の最適期を生後2〜4か月としているのは、評価・ご判断を経て、この開始時期にちょうど間に合わせるためです。生後7〜8か月を過ぎると、同じ期間装着しても得られる改善が小さくなります。

装着時間1日 20〜23時間
治療期間約4〜6か月
通院月1回の調整

対象の目安:3D計測でゆがみの程度を評価し、中等度以上の変形が残る見込みのお子さんにご提案します(月齢・変形の方向も含めて個別に判断します)。お風呂などの時間はヘルメットを外します。

費用(ヘルメット治療は自由診療・保険適用外です)

ベビーバンド3
3D撮影・ヘルメット・治療終了までの診察代を含む
390,000円(税込)
リモベビー
3D計測・ヘルメット・診察代・義肢装具士による調整費を含む
490,000円(税込)

※医療費控除の対象になります(申請は各ご家庭で行っていただきます)。初診・経過観察は保険診療です。

当院はこの2機種を扱っており、お子さんの月齢・変形の程度に応じて適した方をご提案しています。

治療用ヘルメット「リモベビー」(グンゼメディカル社)

起こりうる副反応・注意点

  • 汗をかきやすくなる、皮膚の赤み・かぶれ、におい、抱っこのしづらさなど
  • 頻度は決して低くありませんが、月1回の調整で対応でき、治療の中止に至ることはまれです(国内159例の報告で中止は1例のみ:JMA Journal 2021)
  • 効果には個人差があり、装着時間や治療開始の月齢によって結果は異なります

担当体制

あたまのかたち外来は、小児脳神経外科を専門とする医師が担当し、まれな病気の見分けから治療終了まで責任を持って診ています。院長も日常の診療でご相談をお受けしています。

よくある質問(FAQ)

Q1. 向き癖や絶壁は自然に治りますか?

A. 多くは寝返り・おすわりができる頃から自然に目立たなくなっていきます。ただし「整っていく途中なのか」「相談したほうがよい形なのか」を見分けられるのは限られた時期だけです。軽くても悪化する方向であれば、一度計測にお越しください。

Q2. いつ相談に行けばいいですか?

A. 心配になった時点がちょうどよいタイミングです。ご相談は生後2〜4か月が最適で、治療を始める場合の最適期(生後3〜6か月頃)にちょうど間に合います。それより早くても計測・記録と向き癖への働きかけのご説明ができます。生後7〜8か月を過ぎると、治療を行う場合の効果は小さくなっていきます。

Q3. ヘルメット治療の費用・期間はどのくらいですか?

A. 自由診療で、ベビーバンド3が390,000円(税込)、リモベビーが490,000円(税込)です。いずれも3D計測・ヘルメット・治療終了までの診察代を含む総額です。治療期間はおおむね4〜6か月・1日20〜23時間の装着で、月1回の調整に通っていただきます。初診・経過観察は保険診療です。

Q4. 治療に痛みや副反応はありますか?

A. 痛みを伴う治療ではありません。汗・皮膚の赤みやかぶれ・においなどは起こりえますが、月1回の調整で対応でき、治療を中止するほどのトラブルはまれです。気になる症状があれば次の調整を待たずにご連絡ください。

頭のかたち外来のWeb予約はこちら/お電話:044-872-8027
予約時に「赤ちゃんの頭のかたちの相談」とお伝えください。